言葉には、それを話す人や地域の「空気」みたいなものが、もろに表れますよね。
価値観とか。
文化とか。
ラオス語に触れていても、やっぱりそれを感じます。
以前の記事では「キット・ホート」、訳せば「恋しい」「懐かしい」、という言葉に表れるラオス人の性格を紹介しました。
今回は、ラオス語を代表すると言っても過言ではない言葉、
「ボーペンニャン」
について書いてみたいと思います。
ボーペンニャンってどういう意味?
ラオスに来た外国人が、かなり早い段階で覚える言葉のひとつ。
「ボーペンニャン ບໍ່ເປັນຫຍັງ」
ボー:否定語
ペンニャン:問題がある、どうかした
ということで、
ボーペンニャン:問題ない、大丈夫
っていうニュアンスで使います。
かなりいろんなシチュエーションで発せられる、便利な言葉です。
そして、この言葉の使い方からは、ラオス人の性格が垣間見えます。
それでは、実際にどんな場面でこの言葉を使うのか、みてみましょう。
用例1:どういたしまして
ちこ「手伝ってくれてありがとう」
ラオス人「ボーペンニャン」
すごく普通の使い方ですね。
「どういたしまして」って感じ。
用例2:いいよ、大丈夫
(待ち合わせに遅れて)
ちこ「遅れてごめん!」
ラオス人「ボーペンニャン。そんなに待ってないよ」
これも普通の使い方です。
「いいよ」って感じ。
用例3:どうもしないよ
(具合が悪そうな人に)
ちこ「なんか顔色悪いけど、どうかした?」
ラオス人「ボーペンニャン。二日酔いなだけ」
「大丈夫」「どうもしないよ」って感じですね。
用例4:気にしないで
(職場で)
ちこ「あのー、ここちょっと間違ってるから、直してほしいんだけど」
ラオス人「あー、うん。ボーペンニャン」
ちこ・心の声 (そこボーペンニャンか!? あんたのミスだから「すみません」じゃないの!?)
これ、外国人には不可解な使い方代表。
そこ、私が「ボーペンニャン」って言ってあげるほうで、あんたが言うな!! って突っ込みたくなる。
用例5:ボーペンニャンじゃないんだけど
ちこ「あのー、ごめん。借りてた本をちょっと汚しちゃった」
ラオス人「えー……ボーペンニャン」
ちこ・心の声(けっこう不満そうだけど……ほんまにボーペンニャンか?)
ラオス人、たまに「ボーペンニャン」じゃないときにも、「ボーペンニャン」って言うので、要注意です。
番外編:「シペンニャン」
これ、私の好きな表現です。
意味も使い方も、「ボーペンニャン」と似ているのですが、ニュアンスは若干違います。
「シペンニャン ຊິເປັນຫຍັງ」
シ:未来を表す助詞
ペンニャン:何か問題がある、どうかする
ラオス語にはけっこう反語的な言い回しがあって、これもそのひとつ。
直訳すれば「それでどうかする?」
意味としては、反語的に「いや、全然問題ないよ!」
ってことです。
何かお願いしたときに、
「シペンニャン」
って返事もらったら、「全然かまわないよ」みたいな感じで、「ボーペンニャン」って言われるよりも、「ああ、本当に大丈夫なんだな」って思えます。
とりあえず、ボーペンニャンって言っときゃいい
こんな感じで、ラオス人はなんでもかんでもボーペンニャンです。
彼らのゆるやかでおおらかな気質を表していると言えるかもしれませんね。
悪く言えば、ことなかれ主義で、責任をうやむやにしたいという面も……?
でも、ラオス人はけっこう日本人と似ている部分もあり、はっきりものを言わないというか、察してくれ! みたいなときもあるので、彼らの「ボーペンニャン」を信じすぎると、裏で愚痴られてたりするので、要注意です。
まあそれでも大概の場合では、ラオス人の真似して、とりあえずなんでも「ボーペンニャン」って言っておけば、場が丸く収まる……かも?
コメント