イベント化する宗教行事・オークパンサー

人々の暮らし

こんにちは。ラオス在住のちこです。

 

昨日、10/24は、タイやラオス等、東南アジアの仏教国では特に大きな行事、「出安居 オークパンサー」の日でした

 

前日から、お供えの花やバナナなどが道端で売られ、当日の朝、人々はこぞってお寺へ喜捨に出かけます。

夜になると、ろうそくの光が町のあちこちをいろどります。

 

 

今回はそんな「オークパンサー」についてのお話です。

 

出安居・オークパンサーって?

東南アジアで信仰されている「上座部仏教」では、雨期の間、「雨安居(うあんご) パンサー」という期間になります。

 

Wikipediaの説明をひきますと、

安居(あんご)は、それまで個々に活動していた僧侶たちが、一定期間、1か所に集まって集団で修行すること。および、その期間のことを指す。

引用:Wikipedia

 

雨安居の期間は、一般の人も、結婚式などのお祝いごとは控え、農作業など仕事に専念します。
人によっては禁酒している場合もありますね。
ラオスやタイでは、7月から10月、旧暦でいう、8月の16夜から11月の15夜、満月の日までです。

 

今年2018年は、7月27日から10月24日まででしたね。

7月の安居に入る日を「入安居 カオパンサー」、10月の安居があける日を「出安居 オークパンサー」といいます。

 

朝はお寺へ喜捨に

喜捨のためお寺へ向かう人々

 

お寺の前にはお供えの花が売られている

 

その日には、人々はラオスの伝統的な正装である「シン」と「パービアン」を身につけ、お寺へ「喜捨 サイバート」をしにいきます。

 

 

巻きスカートが「シン」、肩から斜めにかける細長い布が「パービアン」です。
手に持っているのは、喜捨のための炊き立てのもち米やお菓子、お金などをを入れる「カン」という入れ物。

 

 

夜はろうそくに火を灯し「ブサー」

 

 

この日の夜はどこでも、家の周りで小さなろうそくを並べ、祖先や土地の精霊へ、お花やご飯などをお供えする「ブサー」をします。

 

橙色の小さな灯りが点々と町をいろどる光景は、なんだか心に染みて、きれいです。

 

こうした小さな舟にろうそくをたてる「ライ・フアファイ」をする家もあります。

 

花火や爆竹をあげる人もいるようですね。

 

 

他にも、ろうそくを持ってお寺のまわりを歩く「ビエンティアン」や、川に灯篭を流す「ローイカトーン」などもあります。

 

道端で売られている、ローイカトーン用の舟。真ん中にろうそくと線香を立てて流す

 

メコン川へバナナの葉で作った灯篭を流す

 

灯篭流し「ローイカトーン」はタイで有名ですが、ラオスの各地でもおこなわれています。

ビエンチャンならメコン川沿いで、バナナの葉と花で作られた丸い舟に、ろうそくを立てて流している姿が見られます。

 

 

これらは、純粋な仏教行事というよりは、この地域に昔からあった精霊信仰と仏教が融合したものなんじゃないかなと、想像しています。

 

そもそも、灯篭流しなどが、どれくらい古い習慣なのかは、よくわかりませんけれども。

 

 

 

オークパンサーがすぎると、ラオスはお祭りシーズン、結婚式シーズンに入ります。
ビエンチャンでは、オークパンサーの翌日が、ボートレース祭になります。

 

仏教行事も、若者にとっては「イベント」!?

 

さて、このオークパンサーの日になると、普段は仏教行事に関心がない若い人たちも、お寺へ向かいます。

 

うちの同居人・Kちゃん(20歳)も、前日の夜は、「明日は彼氏とサイバートにいくんだ♪」なんてちょっと浮かれていました。

 

でもですね。
このKちゃん、実は仏教徒ではありません。
少数民族で、本来なら「精霊信仰」です。本人もそうだと言っていました。
普段も、お寺に行くことはありません。

 

だけど、このオークパンサーのような日は、特別らしいです。

 

その理由のひとつは、
たまには、そういうちょっと「いいこと」をしたい。

 

こちらの仏教では、何かよいことをして、徳をつむ「タムブン」あるいは「ヘットブン」によって、よりよい来世を迎えられる、と信じられているそうですからね。
周りの人にならって、仏教徒ではなくても、そういう考えは持っているのです。

 

そして、もうひとつの理由は……「フェイスブックにあげる、いい写真がとれる!」

ということらしいです。

 

 

オークパンサーをはじめとした大きな仏教日になると、ラオス人のフェイスブックは、「お寺にいってきたよー」なんて写真であふれかえります。

 

 

夜に川沿いでおこなわれる灯篭流し「ローイカトーン」は、さらに、カップルのイベントと化しています。

 

灯篭流しの順番を待つ人々

 

暗い中、ろうそくのほのかな明かりをともして灯篭流しをするのは、そりゃあ、いい雰囲気ですよね。
わかります。

 

逆に、恋人のいない人が、「一緒にローイカトーンをする相手がいないから、家で寝る」なんてフェイスブックで愚痴っていたりもします(笑)

 

もちろん、家族で、友達同士で来ている人も、大勢います。

 


 

形ばかりであったとしても、若い人が宗教行事に参加するのが、悪いことだとは思いませんが、
ラオス人のお年寄りなんかは、「最近の若者は、行事の意味をわかっていない」と嘆いていたりします。

 

なんだか、どこの国でもあるあるなんですね。こういうの。

 

ちなみに、農村部では、こうした仏教行事の重要性はまだまだ大きく、その日はみんな農作業もお休みで、朝からお寺へ行って、お坊さんの説法を聞いたりします。

若い人よりむしろ、年配の人たちが中心となっておこなわれるイメージです。

 

本来の意味を心にとめつつ、参加してみよう!

もしラオスに滞在していて、ラオス人にこうした行事に誘われたら、ぜひ行ってみてください。
仏教徒かどうか、普段お寺に行くかどうかなんて、誰も気にしません。

 

それに、お寺に行かなくても、朝や夜、街を観察していると、いろんなところから、この「オークパンサー」の雰囲気が伝わってくると思います。

 

そしてできれば、年配の方に、行事の意味も聞いてみてくださいね。
きっと、興味深い話を教えてもらえますよ。

 

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