こんにちは。ラオス在住9年目のちこです。
ラオスに来て最初の3年は、ラオス北部の山奥にある農村で暮らしていました。
そのせいでしょうか。
ビエンチャンに住むようになった今でも、付き合いのあるラオス人は、圧倒的に地方出身者・少数民族の人が多いです。
その多くが、実家は貧乏だけれど、街へ出て、自分たちの力でなんとかがんばって、進学したり職を見つけたりして、身を立てようとしている20代~30代前半の若者。
彼らと付き合っていくうちに、しみじみ思うようになりました。
ラオス人ってよく、「やさしい」と言われます。
私の知り合いも、特に農村出身の人は、素朴で明るい人が多い。
でも、実はみんな、闇を内に抱えているなあ、と。
私自身、性格の問題か、昔からそういう人を引きやすいタチではあります。
心の闇がない人間なんて、そうそういないとも言えますしね。
でも、それにしたって、ただの「個人」の問題だとは思えないくらいに、彼らは共通した苦しみを抱えています。
今日はそうしたことについて、つらつら書いてみたいと思います。
「貧しい」地方出身者たちの苦労
東南アジアの途上国の多くはそうかもしれませんが。
ラオスでも、農村部と都市部での生活には格差があります。
農村部、特に山岳部では、「お金がない」という意味では本当に「貧しい」。
そして、現代はどんな田舎であっても、どうしたって暮らしにはお金が必要です。
そうした農村を出て、街へ向かう若者の多くは、共通した思いを抱いています。
「こんな暮らしで一生を終えたくない」
「老いてきた両親に、もっと楽な生活をさせたい」
それで、単身、あるいは知り合いを頼って、街へ出ていくのです。
あるいは進学のために。あるいは働き口を得るために。
手に職のある人なら、バイクの修理工や電気工などに。
技術がない人は、レストランやホテルで働きます。
女性なら、住み込みのメイドや縫製工場。
風俗へ行きつく人も少なくありません。
彼らは同郷や同じ民族の人たちとつながり、生活はカツカツながらも、明るく過ごしています。
でも一方で、根深い悩みもあります。
実家からの支援や理解が得られない。
むしろ、金銭的支援をせかされる。
何かあったとき、周囲には頼れる家族も親戚もおらず、孤独と不安を感じる。
ときには、少数民族であるための揶揄や差別を受ける。
都市出身者に対し、学歴や知識面でコンプレックスがある。
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などなど。
さまざまなプレッシャーやコンプレックスを感じながら、努力している彼ら。
そのせいなのかどうか。
彼らの多くが、なんらかの「闇」を抱えているように思えてなりません。
同居人のKちゃんの場合
Kちゃんはラオス北部の農村出身で、高校を卒業した後、知り合いを伝ってビエンチャンへやってきました。
本当は専門学校か大学に進学を希望していたのですが、実家が貧しく、また家族も進学することへの理解がなかったため、あきらめて、彼女は働くことにしました。
レストランのウェイトレスにはじまって、住み込みのベビーシッターやメイドなどをして、少しずつお金をため、中古のバイクも買いました。
そして、2年働いて、たまたま試しで受けた専門学校の入学試験に受かり、今は働きつつ学校に通っています。
基本的に明るく気がきいて、愛嬌があるので働く先でもみんなにかわいがられるタイプ。
でも一方で、精神的に不安定な面もあります。
恋愛依存的で、特に住み込みで働いていたときは、寂しさのためか、SNSで何人もの男の子と同時並行で連絡をとっていました。
今は彼氏がいるのですが、正直、相当に依存しているなあと見ています。
だというのに、一方で、隠れて連絡をとったり会ったりしている男の子が複数います。
それが、元々支配的なタイプである彼氏の不安を刺激して、束縛が強まる。
束縛されるのが嫌なのに、決して別れたりはしないし、でも浮気もやめない。
なかなかの、困ったちゃんです(笑)
その根っこには、孤独や不安があるのかな、と思っています。
街で働くことや、勉強することについて、家族からの理解が乏しい。
なにかと金銭的支援を求められたり、逆に実家に帰ってくるよう促されたり。
一方学費などの支援がほしいときに、誰も助けてくれる人はいない。
自力で進学したけれど、卒業した後、職が得られるかもわからない。
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そうした状況が、Kちゃんをいっそう不安定にさせているのかなあ、と。
Kちゃんの同級生、Oくんの場合
Oくんはバイク修理工として働いています。
20歳にして、結婚もしていました。(今は離婚しましたが)
結婚していた当時は、家族を養えるようにならなければ、という気持ちからか、
昼はホンダで修理工として働き、夜はレストランの仕事をかけもちしていました。
朝7時に家を出て、帰ってくるのは夜中の12時や1時。
修理工の仕事は日曜休みですが、レストランの休みは月1。
日本の長時間労働も真っ青ですね。
だというのに、奥さんはそうしたOくんのがんばりを、あまり理解していないように見えました。
たまの休みに遅くまで友達と飲みに行けば、「浮気してるんじゃないか」。
客観的に見て、彼の生活に浮気をする余裕なんてないのは、明らかなのに…。
Oくんは仕事もきついし、結婚生活もあまりうまくいっておらず、一時期かなり暗い顔をしていました。
そんなある日のことでした。
雨がしとしと降っている夜中の1時ごろ、私とKちゃんが、とっくに就寝して夢の中にいたとき。
突然、うちの部屋の扉を誰かが乱暴に叩きました。
びっくりして飛び起き、そっと窓を開けて外の様子を確かめると、なんとOくんが雨に濡れて立っているではないですか。
酔っぱらって、しかも少し怪我をしています。
聞くと、
「奥さんと喧嘩して、家を飛び出してきた」
でも、どこにも行くあてがなく、さまよったすえ、同郷のKちゃんをたのみに、うちへ来たというのです。
とにかく家に入れて、彼を休ませながら、私はしみじみ思いました。
彼らの生活は、なんて不安定でもろいんだろう、と。
村には、村社会という強固な基盤があります。
何かあっても、誰かが助けてくれる。
でも、都市部では、そうはいきません。
日本と同じで、周りは他人ばかり、地方から出てきた人にとって、何かあったとき頼れる人はほとんどいない。
彼らの生活基盤は、本当に脆弱です。
ちなみに、彼はその後離婚し、レストランの仕事もやめて、昼の修理工だけを続けることになりました。
寂しさもうかがえますが、前よりは元気になったように見えます。
地方出身者の多くが「闇」を抱えている
ここでは二人しか例を出しませんでしたが、他の多くの地方出身者も、似たような悩みや苦しみを抱えているように見えます。
不安。
孤独。
田舎の家族からの、過度な期待。
そうした悩みや苦しみを背景に、
酒や薬物を含め、何かに依存してしまう人。
恋人を過度に束縛する人。
都市出身の人との差にコンプレックスから、卑屈になる人。
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ラオスはいわゆる「貧しい」後発開発途上国とされ、先進国からの援助も多く受けています。
国際援助の多くは、農村部が対象です。農村では、基本的なインフラも整備されておらず、現金収入源も限られており、「貧しい」のは確かです。
でも、私はときどき思います。
「貧しさ」は農村部だけにあるのではない。
むしろ、目には明らかに見えないだけで、都市部にいる地方出身者のほうが、根深い問題や闇を抱えているのではないか、と。
コメント
ラオスの北部には中国人が欲しがる「漢方薬の材料」がごろごろしている、という動画を見たことが有ります。現在中国人がそれを利用して独占的に商売をしているようですが、今はネットの時代、パソコンとネット環境さえ整えばだれでも商売に参画できる時代です。ちょっと調べてみてはいかがでしょうか?
そうですね。漢方薬の買い付けに来ている中国人はすごく多いようですね。
法律的な問題もあり、林産物の採集はそれなりのハードルがありますが(^^;